Cardano創設企業であり、グローバルなブロックチェーンソリューションのプロバイダーであるEMURGOは、先日第2回ウェビナーを開催し、世界中からの参加者とともに、ブロックチェーンがいかにしてサプライチェーン業界の効率性を向上させるかを学びました。また、提供を開始したばかりのEMURGOトレーサビリティソリューションのユースケースなどについても、詳細な議論が展開されました。
EMURGO IndonesiaのCEOである村崎とブロックチェーンソリューションユニットのマネージャーであるPurushotham MaralappaによるEMURGOの第2回オンラインウェビナーでは、ブロックチェーンの基礎を詳しく学び、さらにはブロックチェーンによるサプライチェーンへの付加価値提供や、サプライチェーンモデルにブロックチェーンを統合したユースケースについてもご紹介しました。また、EMURGOトレーサビリティソリューションとインドネシアのコーヒーブランド、Blue Korintji Coffeeとの事例についてもじっくりと議論をすることができました。
今回のブログでは、ウェビナーにご参加いただいた皆様とのQ&Aセッションの内容について、一部をご紹介していきます。
コミュニティとのQ&A
Q: EMURGOのトレーサビリティソリューションは、コーヒー産業だけではなく、たとえばパーム油のようにさまざまなプロセスやステークホルダーが関与する製品の複雑なサプライチェーンにも活用できるものでしょうか?
村崎:はい、他のコモディティ商品にも活用できるソリューションです。非常に柔軟性のある設計ですので、あらゆるビジネスプロセスに対応できるでしょう。既存のビジネスプロセスの変更は最小限に抑えつつ、できる限り多くのデータを記録することで、このソリューションをより効率的に適用していくにはどうするべきか、EMURGOは積極的に議論を行っていきたいと考えています。
Q: ブロックチェーンの統合に適しているのは、どのような分野のサプライチェーン/ビジネスでしょうか?
Puru:デロイトの世界経済フォーラム(World Economic Forum)での研究などによると、トレーサビリティやプロビナンス、貿易金融などの業界には、ブロックチェーン を取り入れたいという高い需要があるようです。EMURGOは、積極的にユースケースシナリオの議論を進め、あらゆる領域のサプライチェーンに適切なソリューションを提供することで、セキュアなデータ透明性とトレーサビリティによるステークホルダーへの付加価値提供を実現します。
Q: ビジネスに適しているのは、どのような種類のブロックチェーンですか?
Puru:それはビジネスの性質によって異なります。最適なブロックチェーンアーキテクチャに関するアドバイスを行うためには、まずビジネス全体を分析する必要があります。情報のプライバシー、運用のコスト効率、取引手数料の削減、導入における柔軟性といったニーズが顕在化することで、ブロックチェーンコンソーシアムではさまざまなトレンドが見られるようになっています。ケースによっては、パブリックブロックチェーンとプライベートブロックチェーンの組み合わせが適しているとアドバイスをすることもあります。
Q: サプライチェーンのすべてのステークホルダーに、透明性とトレーサビリティの実現のためにブロックチェーンを採用してもらうにはどうすればいいですか?
村崎:正直に申し上げて、トレーサビリティソリューションは導入が非常に難しいソリューションの1つです。ソリューションの導入により何を達成したいのか、全員が同じビジョンを共有することが大前提です。というのは、このようなプロジェクトではステークホルダー全員の努力が求められるからです。また、関与するステークホルダーそれぞれに、経済的なインセンティブをもたらす設計とすることも非常に重要です。Blue Korintji Coffee の場合は、サプライチェーンの上流にいる生産者などのステークホルダーの関与が成功の要であるため、こうした人々に利益を還元することをCEOが約束しました。
Q: 十分な知識を持たない企業がブロックチェーン技術を取り入れるには、どのような方法が最適か?
村崎:教育とは非常に重要なものだと思います。技術を理解しないままにブロックチェーンソリューションを導入することに対し、ステークホルダーの同意が得られるのであれば素晴らしいことですが、ブロックチェーン台帳の管理など、日常的なオペレーションはその企業が行わなければいけません。ですから、ブロックチェーンの基礎を理解していることが望ましいと言えます。EMURGOがブロックチェーン教育にも注力するのはこのためで、より多くの人々にブロックチェーン技術のメリットを理解していただきたいと考えています。今回のコーヒープロジェクトにおけるEMURGOトレーサビリティソリューションの導入の場合は、コミュニティの中心人物を特定し、そのような人々と非常に綿密なコミュニケーションを重ねました。その後、その人が得たブロックチェーンの知識を、生産者やコレクターに伝えてもらうようにしたのです。
Puru:少し補足すると、企業がブロックチェーンについての基本的な知識を持たない場合は、ブロックチェーンアドバイザリーサービスを提供する企業と提携するという方法もあります。EMURGOは包括的なブロックチェーンソリューションのアドバイザリーサービスを企業、組織、政府などに提供するとともに、詳細にブロックチェーンを学びたい方を対象とした教育サービスも提供しています。
Q: イーサリアムベースのパブリックまたはプライベートのシステムは、食品のトレーサビリティに対して有効でしょうか? QRコード以外に、トレーサビリティに活用できるソリューションはありますか?
村崎:予測されるトランザクションのボリュームに大きく依存すると思いますが、今回EMURGOは1日に500杯程度販売するコーヒーブランドと提携しており、今のところ大きな問題は生じていません。EMURGOは以前、信頼性の高い追跡製品のコーティングとして利用されるカスタムDNAデータストレージを設計する、Helixworks社への投資を行いました。同社の製品は透明性が高く、サプライチェーンにおける詐欺を防止してくれるため、トレーサビリティプロジェクトには非常に親和性が高いと考えています。
プル:パブリックブロックチェーンやプライベートブロックチェーンを利用することにはメリットとデメリットがあります。ビジネスに固有のニーズに基づき、EMURGOはパブリック、プライベート、あるいはハイブリッドのアーキテクチャを備えたエンタープライズ向けソリューションを提供します。多くの企業の場合、ブロックチェーントランザクションの費用、ブロックチェーンに保存されるデータのプライバシー管理、1秒あたりのトランザクション数の多さなどから、プライベートブロックチェーンが推奨されます。データをパブリックドメインでオープンにしておくことで、誰でも好きな時にデータにアクセスできるようにすることが最も利益があると考えられる場合は、パブリックブロックチェーンをおすすめすることもあります。
Q: 南米諸国におけるインフラストラクチャには非常に大きなギャップがあることを考えると、ブロックチェーン統合プロジェクトはそのような国々でも実現できるものでしょうか?
村崎:対象となる業界やインフラストラクチャについてより詳細な情報は必要ですが、EMURGOのトレーサビリティソリューションは、インターネット接続の安定性が十分とは言えない農村地帯にあるコーヒー処理業者に導入されています。EMURGOエンタープライズチームは、非常に軽量かつ効率的に動作するソリューションをカスタマイズ構築しているため、そのような地域でも確実に稼働するのです。
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